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風に飛ばされてページが開く。
最後のページまでパラパラと捲られ、白斗が最後に見た一文が綴られていた。
――このページが尽きたとき、横花白斗は命を落とす。
そしてその続きには、白斗が読めなかった最後の物語が綴られていた。
――まるで運命を決めつける本に苛立ちを覚えた彼は、本を捨てることを思いついた。しかしゴミ捨て場に本を捨てることを思いとどまった彼は、どうせ他の人が見ても白紙だと考え、図書館へ本を戻すことに決めた。
本は彼の残りの一冊分の命を少しでもいいものにしようとしていただけなのに、ひどい仕打ちだ。
しかし道中、彼は交差点を飛び出してしまい走ってきた車との接触事故に遭った。彼が本を図書館に戻すことは叶わなかった。
転がった本はどこからどうみても図書館の本でしかない。バーコードもついている、普通の図書館の本。その本は当然のように必然に、図書館へと返された。
白斗が見つけた時のように黒い本のふりをした一冊分の誰かの命は、前の持ち主の記録を消して新たな誰かの運命を綴る。
fin.
横花白斗の物語が徐々に本から消えていく。
白紙のノートはそれでも疑われずに図書館へと返されるのだろう。
そしてまた誰かがこの本を見つけ、本は新たな持ち主の一冊分の命をいいものにしようと運命を綴るのだ。
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