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「あの、この本ってこの図書館のものですか? 借りたりできますか?」
眼鏡をかけた若い女性の司書さんは、優しい笑顔で僕から本を受け取った。
すぐにその笑みが崩れ、怪訝そうな顔になる。
「この本、どこにあったものですか?」
「向こうの小説コーナーにありましたけど……」
司書さんは僕がやったようにいろんな方向からその本を観察する。
それからパラパラと本のページを捲って、さらに眉間にしわを寄せた。
「ただの……ノート?」
司書さんの言葉に次は僕が怪訝な顔になった。
ノートなんてそんなはずはない。だって僕が見たときは普通に文字が連なっていた。
「あの、僕にも見せてくれませんか?」
「どうぞ。ただの白紙のノートみたいよ? 誰かが忘れて行ったのかもしれないわね」
司書さんが渡してくれた本のページを捲る。
最初の数ページをパラパラと捲れば、やっぱり文字で埋まっている。白紙のページなんて……。
なぜか途中から本が白紙になっていた。
さっきは最初のページを見ただけで本を閉じたから気づかなかったようだ。
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