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――もっと読んでいたいのに、この本は読み続けることを拒否するかのように余計なことを思い出させる。
それも仕方がないだろう。運命を記す本なのだ。あまり未来を書かれても、何もしないうちにどんどん未来だけ決められても仕方がないのだから。
しかし気持ちが早って次のページを捲ってしまう。
そこにはないもない白紙のページが続くだけだった。
彼は気づく。
この本は現在進行形で未来を、運命を綴っていく本なのだと。
気になって僕も同じ行動をとる。
次のページを開けばそこには文字が続いている……はず。
「え……」
白紙だった。
もしかして、さっきパラパラと捲ったときに白紙になっていた場所まで読んでしまったと言うのだろうか。
そう思って一ページ戻れば、読んだばかりの文章が目に留まる。
――この本は現在進行形で未来を、運命を綴っていく本なのだと。
まさか。現実と、リンクしている?
この本の登場人物は紛れもなく僕で、同姓同名なんかじゃなくて、ここにいる僕で。本の持ち主も僕で。これは……。
「僕の、未来?」
本が目の前で文字を綴ることはなかった。
僕の質問に答えてくれるわけでもなかった。
心臓がバクバクと早鐘を打つ。怖いのに手放せない。続きを読みたい。そのためにはまずは僕が行動しなければ進まない。
あぁ風呂掃除をしなくっちゃ、という考えが頭を過る。
僕はまだ早鐘を打つ心臓に静かにしろ、と牽制するように強めに本を閉じ、風呂場へ向かった。
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