出会い

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出会い

20数年前に 彼と出会った。 当時彼は 某国立大学病院の勤務医で アメリカに留学して得た 専門知識と技量で 製薬会社のMR(医薬情報担当者) 一緒に全国を講演に 飛び回っていた。 その出張を通じて 知り合った。 最初の印象は顔はタイプでは なかったけれど声が好みで 素敵な方だと思った。 偶然が重なり彼から話しかけられ 「また偶然会えたら面白いね」 って名刺を渡された。 以前から私の事は知っていて 声をかけるタイミングを 探していたそうだ。 次も別の場所で偶然に出会った。 その頃は「教授に1番近い男」 と言われていたらしい。 昔流行ったテレビドラマの 白い巨〇の世界だと思った。 彼の見た目も自信に満ちて 財前五〇を想像させた。 だから思わず 私は「〇〇教授の総回診です」 って本当にやってるのですか? と聞いた 笑 彼「実際にあるけどあんなに多く はいない」 って。 彼は医者は職場結婚が多くて 「医者同士で結婚すると良かったね」 「医者が看護師と結婚すると捕まったね」 と言われるそう。 その話の流れで 彼には婚約者がいると言った。 開業医の親がいる女医だって。 彼に似合うお相手なんだと思った。 彼は女優の松〇由樹のファンで 私が似ていると良く言っていた。 その彼が 「付き合わない?」 私は「婚約者がいるでしょ! 浮気相手なんて、嫌だ」 遊びで付き合う気はなくて しばらくは友人として交流した。 その少し前にプライドをズタズタに された失恋をしたばかりだった。 でも彼とは性格や話も合って 一緒にいると楽しかった。 お互い昔からの知り合いみたいに 気があった。 だから好きと思う気持ちは 止められなかった。 結婚は出来ない不毛の恋だけど 期間を決めて覚悟も決めて 遠距離ながら付き合う事にした。 お付き合いから一年後に 大学病院の医局内で軋轢が 生じたらしい。 彼のやろうとしていた事は患者 の為には良いことだけど それを面白くない人達がいた。 結果彼は大学病院を辞めた。 大学病院を辞める際には 直属の上司にあたる教授から 「守れなくてすまなかった」 と言われたそうだ。  同じチームの看護師長は 「先生がいなくなった後は どうしたら良いのでしょうか?」 と嘆いていたそうだ。
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