第一の間

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第一の間

「ごめん、今日呼び出し食らってて…本当にごめん。また誘って!」 私は濱口彩(はまぐちあや)。ありふれた中学三年生の女子である。成績普通、体力普通、友達がいないわけでもないまあモブってわけ。モブでもモブなりに幸せな生活はしている、それにモブモブでもないのだ。特にあやかしのことを頭にいれると_。ああ、もうあやかしなんて頭で想像するだけで嫌気が差してくる。 『 あやかしは、この世に存在するんだ!』 かつての姉が言っていて言葉、間違っていると信じていたかったな。 でも、結局いて、私に襲いかかって、くる。誰かを死なせる殺人鬼なんて、この世にもあの世にも存在しなくていい。 ふと、過去のことを思い出しながら静けさが浸る階段をたった一人で登っていく。ちなみにいっておくが、呼び出しとは先生からではない_これでも、一応問題児の座は取っていないのだから_。では一体誰なのかというと、学園1の美男子、松陰和泉さん!もう、美男子に呼ばれるとすれば告白という言葉しか思い浮かばない。これだけのモブを維持続けてきた私でも、やっぱりあるんだよね、運命って! そうやって胸をとことん弾ませて集合場所である屋上についた。 まだ、松陰さんはいないみたいだ。屋上から見える景色は別格、さらに今が夕暮れ時ということもあって夕日が美しく煌めいている。そんな美しき屋上に、影が写った。 一瞬、間があく。その瞬間に私が見たものは。 そう、は【あやかし】だった。 「なんでこんなところに…、」 カラカラに乾いてしまった喉で、必死に声を上げる。 私が一人になったところを、襲ってきたのだろうか。否、私はずっと一人だったし、中で襲えばよかった。なのにどうして屋上で_ 今思えば、私は馬鹿だった。こんなこと思い起こすなら、さっさと逃げてしまえばよかったのにと。 大量の手が襲ってくる。名前も知らぬ、低級霊?って言われるやつだろうか。見覚えのない姿がたちで異形の大量の腐った手で私を襲ってきた。 あやかしに出会うのは毎日だ、だがこのように襲われたことは一度もなかった。また、お姉ちゃんの二の舞を踏むのかな? 「_誰か、助けて!」 ただただ自分に根付いた本能でそう叫ぶ。まあ結局モブであるということ以外パットしない女子中学生の私には誰も助けてはくれないだろうが。 でも、その時私が待ち望んだ奇跡が起きた。 眼の前に小柄な人影が見え、一瞬にしてその名も知らぬあやかしの前に立っていた。 刀を振りかざし、低級霊のあやかしにスパッと切れ目をいれる。 鮮やかに彩られたその動きをしながら、彼は 懐から謎の御札を取り出す。 そしてそのあやかしをいとも簡単に退治してみせた。 この手口祓い屋だろうか。だが、祓い屋なんているはず_そうやって私が戸惑っていると、 その人は子供っぽい声で、私に語りかける。 「お主か、儂を呼んだのは。」
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