6人が本棚に入れています
本棚に追加
おざなりとした空気の中、松陰家に私達はついた。
もちろんのことだが、松陰くんにとっては普通のご自宅であり、毎日衣食住をする場所なのだから抵抗を感じないのもわかるが_豪邸すぎる。
まるでタイムスリップしたかのような日本家屋に。
土地面積どれくらい使ってるのかわからないくらい広い日本庭園に。
下働きの方たちがうじゃうじゃいて。
まるでここだけ、タイムワープしてきたようなくらい存在感のある家だった。
私が家の大きさと威厳にびっくりしていると、松陰くんは何事もなかったかのようにいった。
「何驚いているんじゃ、早く入るぞ。」
ツリ目の目をびくとも輝かせず、怪訝そうにこちらを見ていた。
やはり人は自分が大金持ちだということを自覚していないのだろうか…。
私も同じように怪訝な顔をしながら、松陰家に入っていった。そうすると、隣からすごく威厳のある声が聞こえてくる。
それも一人や二人ではなく、大勢の。
「「「「おかえりなさいませ、和泉様!!!!」」」」
「ふう、今帰ったぞ。」
松陰くんは迷惑そうに、適当な返事をしてからぱっと手をふる。
そしてこちらを見て、
「こいつらは気にしないほうが得じゃぞ」
と言った。気にしないでと言われても、どうしても気にしてしまうのだが…だって、私こんな大勢の人に敬礼された道歩いたことないのだから。私は恐縮そうにその道を歩いた。そうすると、遠く離れた扉の向こうから人が出てくる。その人物は松陰くん向かって_
「いやあああああああああ!!!!大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き和泉いいいいいい!!!!」
勢い良く抱きついてきた。
最初のコメントを投稿しよう!