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「ルマネスク魔法学園行きの列車が、まもなく出発します〜。生徒の皆さんは、速やかにコンパートメント席へとご着席ください〜。え〜、繰り返します。この列車はまもなく、ルマネスク魔法学園へと出発します〜。生徒の皆さんは……」
列車の中は、レイラと同じくルマネスク魔法学園に入学する新入生たちで混雑していた。レイラは列車チケットの座席番号をチェックして、自分のコンパートメントへと向かう。
「えっと、7両目、Dの1っと……あった!」
レイラはポケットにチケットをしまうと、少し緊張した面持ちで扉を開ける。そこには、すでにレイラ以外の生徒は揃っているようで、窓際の席がひとつだけ空いていた。
座席は全部で4席。窓際にはややクセのある金髪に、碧眼の美少年。センターで分けている前髪は長めで、青い瞳に少しかかっている。窓の縁に頬杖をついて、手元には本。どうやら読書をしていたようだ。
その隣には、肩より短いところで切り揃えられたミルクティー色の髪の女の子。涼やかでシャープな瞳に、どこか大人っぽい雰囲気が漂っている。
そして、レイラが座る予定の隣席には、胸くらいまで伸びた黒い長髪の男の子が座っていた。顔周りの髪は、フェイスラインに沿って短くなっていて、瞳は猫のようにキュッと目尻に吊り上がった大きな瞳。長い脚を組んでいて腕組みする姿からは気品が溢れており、どこぞかのお坊ちゃんと思わせる佇まいである。
レイラが扉を開けたことによって、一斉に3人の視線が向けられて、うっとやや後退りするレイラ。ドキドキと緊張していると、大人っぽい少女に「早く座ったら」と促される。
「は、はい!」
ハッとしたレイラは、空いている席へ座るべく慌ててコンパートメント内に足を踏み入れた。
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