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ルマネスク魔法学園には4つの寮が存在する。新入生は、朱の鳥を司る「ヴァーミリオンバード」、青い龍を司る「アズールドラゴン」、白い虎を司る「ホワイトタイガー」、亀と蛇を司る「ブラックトータス」のいずれかに振り分けられ、入学から卒業までの間をそれぞれの寮で過ごすことになるのだ。よって、自分がどの寮に入るかは新入生にとって大事なものなのである。
人と人との合間を縫って、掲示板に並ぶ自分の名前と寮を確認する。希望の寮に入れたのか、レイラの隣からは「やった、アズールドラゴンだ!」という声が聞こえてきた。
「あ、ありました!私、ヴァーミリオンです!」
反対側の隣からはエマの弾んだ声。レイラも目を凝らして上から順に名前を辿る。すると、自分の名前が見つかった。その隣に書かれていた寮名は……。
「私もヴァーミリオンだわ!」
炎をまとった火の鳥。未知を恐れず、自分の手で道を切り開く開拓者。そんな素質を持つ生徒が多いというヴァーミリオンバード寮に配属が決まって、レイラは胸を弾ませ、エマと手を取り合って喜んだ。
「これも何かの縁ね。改めて同じ寮生としてもよろしくね、エマ」
「こちらこそよろしくです、レイラ!」
ひとまず自分の寮が分かったところで、二人とも胸を撫で下していると、どこからか鳥が飛んできた。2羽の鳥は二人の足元に降り立ち、カバンをくちばしでつついてくる。
「もしかして、この子たちが『運び鳥』?」
茶色のもっさりとした体に、クリッとした丸い瞳。くちばしは大きいが、自分の体よりも大きい荷物を運ぶことができるのだろうか。レイラが疑問に思いつつも自分の手からカバンを手離すと、運び鳥は器用にカバンの持ち手のところに足をひっかけ、そのままカバンを持って飛んでいく。
「す、すご……。見た目以上に怪力なのね、あの子たち」
「手紙や料理とかも運んでくれるって話ですよ、私も初めて見ました」
「へぇ~……」
さすが魔法学園。これから家では見たことのない魔法や生きものたちに出合えると思うと、レイラの心は一層ワクワクした。
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