第9話 その頃の彼ら

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第9話 その頃の彼ら

◇◇◇ 「なぜできないのです!宿題を出したでしょう!」 「で、ですが、王妃様ぁ。私は馬鹿なので、ごめんなさい…」 えぐ、えぐと泣きだす。はあ、どうして私の息子はセシリアではなくこの女を選んだのかしら。 ダンス、立ち居振る舞い、教養、何をやってもダメ、ダメ、ダメ。 公爵が甘やかしていたというのは聞いていたが、これほどとは…。 「はぁ。今日はここまでにします」 しかし一時間後、息子が飛び込んできた。 「母上!アメリアに厳しくしないでください。アメリアは優しいけどすごく純粋なのです」 昔はこんなことは言わなかったのに…。 アメリアは、よく誑かしたわね。 「宿題をやってこなかったのよ」 「それがどうしたというのです!」 「教えているのに、「私は馬鹿だから」で済ますの。毎日のように泣かれて、まるで躾のならない幼子のようよ」 「なっ…母上とはいえ、アメリアを侮辱するなら容赦しません!」 私は今や、嘆くばかりだーー。 ◇◇◇ みんな、セシリアを褒める。 だから、セシリアより劣っている気がしてならなかった。 アメリアは、純粋だけど馬鹿で隣いれば私が際立つーー。しかし、次第に惹かれていった。体まで重ねたところで、でもセシリアに見つかってしまったのだ。 「王妃様に、また怒られたのぉ…。アメリア、怖い…」 毎日泣きながら訴えてくるのだ。 だから、母上に言いにいった。「容赦はしない」と。 そんなある日、アメリアはとんでもない発言をした。 「そういえばぁ。セシリアお姉様、いなくなってしまったのです…」 アメリアは寂しそうにしていたが、違和感を感じた。 寂しそうにするなら、もっと早くに言っているはず。それをしなかったということは…。 セシリアがいなくなったことについては、少し腹が立ったが、もう関係ないと思うことにしたが…。 「おい。なんだこれは、もっと美味しいものを作れ!」 「申し訳ございません…。セシリア様が美味しいとおっしゃっていましたのでつい…」 セシリアが? 料理を褒める?あの、手厳しいセシリアが? 「…ちっ、仕事が回らない…なぜだ!?今ままでできていたのに…」 「それは、セシリア様が殿下の分まで頑張っていらっしゃったからでございます」 どこへいってもセシリア、セシリア、セシリア。 私は王太子なのに………! 「おい。お前はクビだ」 「お前は鞭打ち100回だ」 王太子は、荒れ始めたーー。
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