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ポテトサラダ
ポテトサラダの発祥は、19世紀にモスクワのレストラン「エルミタージュ」のシェフ、リュシアン・オリヴィエが考案したオリヴィエ・サラダが有力らしい。
そんな事を考えながら、小さな公園のベンチに座り、コンビニで大量買いしたパウチのポテトサラダを一袋開け、俺は食べ始めた。
子供たちの笑い声や大人達のどでかいヒソヒソ話が飛び交う中、今日もなんの変わりもない日常が始まったと感じた。
ふと、横目で公園の入口をみようとしたら、さっきまで誰もいなかった俺の横には、細身の男がポツンと立っていた。
「あんたさ、ワープでもしてきたの?」
「えっ?あっ……はい」
「はい?」
その言葉に思わず、口元につけてしまったポテサラを慌ててふき取り舐めた。
ワープしてきたということは、今流行りの転生モノってやつだろうか?見た目はどうみても現代人で、日本人である。
「あの、ここは岬町ですか?」
「あぁ」
「さっきまで隣町に居たんです」
ワープしたのか、転生したのか、タイムトラベル的なことなのか、ただの変なやつか……悶々と考えていたらワープ男の腹が盛大に鳴った。
「とりあえず、ポテサラ吸うか?」
「吸う?たべるではなく?」
「今、若者の間でポテサラを吸うのがはやってるんだよ」
「へぇ〜」
俺はパウチのポテトサラダをワープ男に手渡した。ワープ男は戸惑いながらも俺の隣に座って、ポテトサラダの封を開け、ゆっくりと吸い始めた。
「本当に吸ったわ〜」
「えっ?まぁ、うまいけど詰まりそうになるから結局は噛んじゃうな」
ニコニコしながらワープ男は、ポテトサラダを吸うのは諦めて普通に食べ始めた。
「まぁ、俺の中でしか流行ってないがな」
ぼそっとつぶやきながら再び考えた。
ワープ男は一体、どこから来たのか?
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