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「(リビング、広〜〜っ……)」
実家の1.5倍、下手したらそれ以上かも。
ファミリー向けの一軒家に余裕で勝ってしまう広さのリビングを構えたこのマンション、そこに1人で住めてしまう親戚がいるなんて、なんだか信じられない。
貧乏なわけではないけれど、それなりに慎ましく生きてきた私からすれば空間が勿体無い。
大きな窓から差し込む光があたたかな印象を与えるリビングにはあまり物がなく、2人掛けのダイニングテーブルと、それを彩るチューリップの一輪挿し。
加えてソファーとオープンラックがあるくらいで、テレビもないので余白が随分と多く見える。
淡いグレーのカーテンが風にそよぐから、それに吸い寄せられる形でそばに寄ると窓が僅かに開いていることに気がついた。
「…不用心だなぁ…」
一階じゃないからって油断しすぎだ。出掛けるならきちんと閉めていかないと。記憶の中の紫乃くんはきっちりしてるイメージだったけれど、意外と抜けているのかな?
そんなことを考えながら数センチの隙間を埋めると、カーテンは泳ぐのをやめ私は窓に鍵をかける。
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