02. 妖精王の娘と悪魔の妃

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「……初めて会ったときから、ジゼは俺を“リシャルトさま”と終始呼んでいた。だが、いま俺の傍にいるジゼは“リシャールさま”と」 「結婚して親しくなったからではないのですか」 「呼び方だけならそうかもしれない。彼女はこうも言ったんだ“自分はヒセラだ、ジゼではない”と」 「ヒセラ?」  聞いたことのない名前を前にシュールトが首を傾げる。 「どこからどう見ても彼女はジゼルフィアなのに、彼女は自分がジゼではないと申し訳なさそうな顔をするんだ。俺は彼女にそんな顔してもらいたくないのに」 「……ふうん」
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