41人が本棚に入れています
本棚に追加
「……初めて会ったときから、ジゼは俺を“リシャルトさま”と終始呼んでいた。だが、いま俺の傍にいるジゼは“リシャールさま”と」
「結婚して親しくなったからではないのですか」
「呼び方だけならそうかもしれない。彼女はこうも言ったんだ“自分はヒセラだ、ジゼではない”と」
「ヒセラ?」
聞いたことのない名前を前にシュールトが首を傾げる。
「どこからどう見ても彼女はジゼルフィアなのに、彼女は自分がジゼではないと申し訳なさそうな顔をするんだ。俺は彼女にそんな顔してもらいたくないのに」
「……ふうん」
最初のコメントを投稿しよう!