02. 妖精王の娘と悪魔の妃

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 妖精王はハーヴィックを建国させる際に初代国王に娘のヒセラルフィアを娶らせた。彼女が主とする精霊のちからは”光”。彼女とともに”火・水・風・土”の四大精霊が天界より舞い降り、ハーヴィックの初代国王に忠誠を誓ったとされる。四大精霊は後にハーヴィックの王城魔術師を輩出する”魔法(マヒ)”の一族を加護するようになった。シュールトの母で現王妃のマリアも”水”の加護を持つマヒ・デ・ヴェルディ家の出身である。また、王城魔術師でジゼルフィアの傍に置いたへリー・マヒ・デ・ブレーケレ家には”火”の加護がある。”魔女の森”に引きこもった姉コリーも同じ性質を持つため、ふたりが揃うと”光炎の魔法使い”と呼ばれ、将来を期されていた。そもそもリシャルトの聖女候補にと王城魔術師たちが当初考えていたのは”光炎”の”光”の性質が強い姉のコリーだったという。だが、彼女は「大魔女に呼ばれている」と家を飛び出してしまったため、けっきょく候補になることはなかった。王城魔術師として王家に仕えることになったへリーは「先祖帰りの魔力が強いリシャルト殿下の”闇”を受け止めるだけの”光”は持ってない」と王家に説明し、リシャルトもそれに納得してジゼルフィアを第一聖女候補に選んだのである。四大精霊よりも偉大な”時”の精霊の加護を持つ一族の娘だ、王の子を産む器になるにはなんの問題もない。が。
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