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なぜならハーヴィック王国の第一王子であるリシャルトの花嫁として選ばれた聖女ジゼルフィアは、すでに死んでいるから。けれど公爵家は一人娘ジゼルフィアの死を隠し、大魔女タマーラの一番弟子で、顔だけが瓜ふたつの魔女ヒセラを聖女と偽って王国へ差し出したのである。
大魔女の命令とあっては断ることも叶わない。魔女ヒセラは聖女ジゼルフィアの身代わり花嫁としていま、王子リシャルトに抱かれようとしていた。
「君を花嫁に迎えることが叶って嬉しいよ」
「リシャールさま……」
全身に塗りたくられた媚薬効果のある香油が、花嫁の身体をじんわりと火照らせていることもあり、ヒセラは紅潮していた。これから自分の身に何が起こるのか、あたまのなかでは理解しているものの、彼女は本当にこれでいいのだろうかと不安そうに瞳を伏せる。だが、リシャルトは憂い顔を見せた彼女を前に自制していた分身が昂るのを感じているようだった。
「媚薬に侵されて身体がつらいのだろう? 心配しないで。俺の手と口でたっぷりイかせてあげる」
「あっ……」
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