日常に彩りを

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 今日も上司に怒られ顧客になじられどうにかこうにか営業の仕事を終えて帰路に着く。満員電車で揺られ揺られ、人と人が混ぜこぜにされて駅のホームに着くと、チューブの歯磨き粉みたいに無理矢理押し出されて電車を降りる。駅を出て近くのコンビニで弁当とチューハイを購入して帰宅。家のドアを開けて誰もいない真っ暗闇に向かってボソッと呟く。 「ただいま」 「おかえりなさい、あなた。ご飯にする?いつものゲームにする?それとも、わ、た、し?なんてね。あはは。変な冗談は止めましょう。お仕事お疲れ様。帰宅したらいつものようにお風呂よね。用意してあるわ。そうそう、そういえば今日は澤村主任と一緒にお昼食べたのね。取引先の近くのお店かしら?私、街で見つけちゃったの。だから嬉しくてつい跡をつけちゃった。食事中の様子を見ていたけど、あなたは主任さんに可愛がられてるのね。主任さんの目を見たらわかる。職場で可愛がられたり信頼されているのには安心したけど、ちょっとやきもち焼いちゃった。あと気になったことがあって、お昼ご飯は主任さんの奢りなのかと思ったらあなたが払ってた。私、そういうときって上司の奢りかもしくは各々が支払うものだと思ってたの。そうじゃないときもあるのね。ところで主任さんっておいくつ?見た感じだと30歳くらいかしら。でもとても若く見えるし女優さんにも引けを取らないくらい綺麗な女性ね。それに仕事中は、出来る上司って感じでインテリジェンス。なのにあなたと2人のときはか弱くて甘え上手でボディータッチの多い女。そのギャップにあなたは心を奪われたのね。あの女のどこがいいの?許せないんだけど」  部屋の奥の方から聞こえていた声の主が近づいてきて、俺の目の前に立った。 「え?誰?どうやってここに入ったんだよ?会社の人間でもないし、何で俺の仕事のこととか主任の話とか知ってるんだよ?」  見たこともない見知らぬ女性。世代は俺よりも少し年上。逃げ出したいけどこの状況に動揺して声を出すことさえ難しいくらい動けない。 「もう一度確認するわね。ご飯にする?お風呂にする?それとも私と一緒に暮らしてく、れ、る?」
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