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最初の恋も無理目な恋だったに違いない。
諮られたものだ。
気づいたら、恋に落ちていた。
だが、それは奇跡としか言いようのない、あり得ない恋に過ぎない。
ジェニファー・メッツロイトンとヴィーラのアンドレア皇太子の人生が交錯することなどあり得ないのだから。
最初の恋の経緯はこうだ。
5年前、雪の中で派手に転んでドヴォラリティー伯爵のお屋敷の前で雪にまみれて途方に暮れていた私は、通りかかった馬車に助けられた。偶然、通りかかったブレッチダービー公爵、ヒュームデヴォン伯爵の馬車に拾われたのだ。
その数日後のこと。私は贅沢なお屋敷の一室に案内されていた。
その日は夕暮れが美しい日だった。街には雪の帽子をかぶった家々が立ち並び、空にはピンク色の夕日が広がっていた。
「始めますよ」
ブレッチダービー公爵、ヒュームデヴォン伯爵は固唾を飲んでじっと成り行きを見守っていた。
彼らは一言も言葉を発しなかった。
高価なガス湯沸かし器から温かい湯が出ていて、あたりには湯気がうっすらと漂っていた。金と大理石で飾られた浴室の奥には、立派な湯船が設置されていて、湯がたっぷりと張られている。遠くでは通りを走る馬車の蹄の音が聞こえてくるだけで、人の声までは聞こえない。
私は助けを求めて辺りを見渡したが、隣の部屋からは暖炉の薪がはぜる音がしているだけで、他の人の気配がしない。
人ばらいをしたのだろう。私を案内してくれたメイドも、どこか遠くの部屋に追いやられているのかもしれない。
夕暮れの街並みの中で、ジェニファー・メッツロイトンという18歳の没落令嬢を助けてくれそうな人は、この大きな屋敷の中にはいない。
「で、ジェニファー。君は承諾するんだね?」
私の目の前には一人の紳士がいた。
豊かなブラウンの髪の毛をきっちりとセットし、メガネの奥の瞳を怪しく煌めかせた彼は、高価な宝石入り懐中時計をチラッと見た。懐中時計の宝石がライトを反射しキラリと光る。
紳士然とした彼は、マルキューノ博士だ。彼の眼差しは私の心の中を見透かしてしまいそうだった。
私は震えが止まらなくなった。
私は小さくうなずいてしまった。
「脱いで」
マルキューノ博士は私に言った。
私は絶対絶命だった。
震える思いでドレスを脱いでいく。
大きな胸があらわになったその時、博士が私の胸をそっと両手で包むようにして揉んだ。
手のひらで胸の先を刺激して立たせたのだ。
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