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あっんっ
うん……っあんっいやっんっ……
私は両手で胸を抱えて隠して周りを見渡したが、部屋の扉は閉められていて、やはり逃げ場はない。
「反応は悪くない」
「うむ、非常にいいと思う」
男性陣がうなずく。公爵も伯爵も、マルキュール博士を促した。
「これ以上はお許しください……」
私は懇願した。
しかし、少しの間だけ、男性たちは悶える私の体を撫で回すことを博士に続けさせて、私は身悶えるしかない。
ほんの少しの間だ。
永遠にも感じた。
私が悪夢として繰り返し見ることになる瞬間だ。アンドレア皇太子の愛人を選ぶための試験だったのだ。
ただ、肝心な部分には指1本博士も触れなかった。触り方は優しかった。
博士はよくわきまえてもいた。
私は悔しかった。
あまりの屈辱に身を震わせた。
他の方が同室しているのが嫌だ。
しかし、結局はひたすら家のために耐えた。最後は暖かい湯に浸かり、3人の男性たちは出て行った。開放された。
これは間違い。
私はこのような事に手を染めてはならない。
でも、この時の私は悪事に加担したのだ。
「君に決めたよ。ジェニファー、君が皇太子の愛しい女になるのだ。我々は君に全てを賭ける。失敗は許されないからね?」
私の目から涙が溢れた。
私はアンドレア皇太子の愛人になるべく、選ばれた令嬢だったのだ。
***
5年前、雪の中で派手に転んだ私は、通りかかった馬車に助けられた。ドヴォラリティー伯爵のお屋敷の前で雪にまみれて途方に暮れていた私は、マルキューノ博士とヒュームデヴォン伯爵の乗った馬車に偶然拾われたのだ。
彼らは私を見るなり顔を見合わせていた。馬車の中で私は彼らに丁重に扱われた。
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