01 二度目のループ

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 私の宝物に会うのだ。  そして、あの子達を今度こそ守るのだ。  私の力で必ずあの子たちの未来を変えよう。  そうだ。私は覚悟を決めなければならない。私は子を3人もなした男性ともう一度恋に落ちなければならない。  普通の感覚なら無理だ。  私の夫であった皇太子が、子供3人を連れた私に別れを告げた時の冷たい顔を思い出す。愛がなくなったから別れると言われた。宮殿から出ていくように言われた。  皇太子は美しい男だ。褐色の髪をかきあげて、特徴的なグレーのようなブルーのようなグリーンの瞳に果てしない色気を漂わせ、私を見つめる皇太子を思い浮かべた。  普通なら無理でも、あの皇太子なら私は自分の本音に蓋をして再チャレンジできるかもしれない。お腹の出た得体のしれないおじさんと18歳でやり直すわけではない。若くてスラリとして、美しいとも言える男性とやり直すのだから。私が18歳に戻ったのならば、アンドレア皇太子も5歳若いのだから。  あの美しい男となら、自分の心を偽ってでもやり直せるかもしれない。もう一度、未来で自分を振った男を、何も知らないふりをして私の方に振り向かせるのだ。  
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