我ら地球上で最強の生物

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「いただきます」  本当はすぐ完食してセックスを再開したいのだが、そうすると燈汰を慌てさせてしまうのでよく噛んで食べる。  しばしして燈汰がまた、ふふ、と笑みを漏らした。 「裸で食べるのはそんなにおかしいだろうか」 「あ、今のはそうじゃなくて。何時間もえっちして、ご飯食べてまたえっちしてって、おれたちケダモノみたいなことしちゃってると思って」 「それは違う。獣のセックスは短い。セックスしてる間はどうしても無防備になるから、いつ敵が襲ってくるか分からない野生の獣に長時間セックスするような時間はないんだ」 「そっか……」 「だから俺たちは今食物連鎖の頂点、何の危険にも脅かされないという自信のある最強生物にしかできないセックスをしている。誇ってもいい」 「そっか、ふふ、おれたち今最強なんだ、ふふふ」  「そんなに面白いのか」 「うん、海くん面白い」  燈汰を筆頭に、ごく一部の人は俺のことを面白いと言ってくれる。だが親しくない人は俺のことをユーモアの欠片もない人間だと思うらしい。ぱっと見面白くなさそうだがよく知ると面白い。それは本当に面白いのだろうか? たとえばぱっと見美人ではないがよく見ると美人といった場合、その人は美人なのか不美人なのか。 「また心ここにあらずの海くんだ」と燈汰が笑う。  いつのまにか燈汰のほうが先に食べ終わっていたようだ。 「燈汰はたまに食べるの早いよな」 「頑張って早く食べ終わってるんだよ。……はやく海くんとえっちしたいから」  飯食ってる場合じゃねえ。俺は燈汰を抱き寄せ、噛みつくように口づけた。正直エビマヨの味は情緒がないが、そんなものでは止まらない。 「残しちゃだめだよ」 「後で食べる」  なにしろ俺たちは地球上で最強の生物なのだから、少しぐらいの無法も許されるはずなのだ。
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