付き合って下さい。(改正版)

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 僕は、その晩からアケビさんに告白する練習を始めた。  練習相手は、いつものように鏡に映る僕だ。 「僕の彼女になって下さい。」 いやっ……駄目だ!  僕の彼女なんて、ちょっと照れて言えない……  鏡に映る自分を見ていたら、ついつい笑ってしまう。  彼女を射止める男子は、どのようなセリフで告白をするんだろう⁇  Googleでも調べた。  いやっ、やっぱり違う!  そんな、調べた言葉は本当の心から僕の気持ちじゃない!  この熱い気持ちを全力でアケビさんに伝えてるんだ!  もう僕は覚悟は出来た。  当たって砕けろだ!  でも、砕けたら、余りにもショックが出過ぎる……  何処で告白しよう?  バイト先のコンビニで告白なんて仕事中だから、さすがのアケビさんも動揺して、その後仕事にならないはずだ。  バイトが終わって、コンビニ前でアケビさんを待とう……  いやっ、それこそストーカーみたいだ。  そうだ!  また、アケビさんをデートに誘えば良いんだ!  よし、今からアケビに連絡を入れる!  そしてデートの約束をゲットするんた!  《プル♪プル♪プル♪》 「も、もしもし、アケビさんですか?」 「私ですよ。  だって、私の携帯ですよ。  カトケンさん、初めてですね!  私に電話くれたの。  私もカトケンさんに電話しようと思っていたんですよ。」 「本当ですか?  じ、実は今度の土曜日休みですか?」 「今度の土曜日ですか?  実は二級自動車整備士の国家試験発表の日なんだぁ……」 「えっ、何で、アケビさんが自動車整備士を目指してたんですか?」 「受かるまでカトケンさんには内緒にしておこうと思って……  受かったら、ちゃんと話すね!」 「受かったら、僕にお祝いさせて下さい。」 「もし、落ちたら……⁇」 「そ、それは残念会でも……」
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