付き合って下さい。(改正版)

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 僕は翌日、日帰り旅行の本を片手に一人旅に出掛けた。  今日も最高の天気だ。  一人旅は、誰にも気兼ねなく過ごせる。  美味しい空気を吸って、美味しい店を探し、自由を楽しむ。  それが僕の楽しみ方だ。  そして目的地に到着した。  そこは広大な草原が広がっていて、沢山の牛が放牧されていた。 「気持ちいーい!」  僕は周りに誰も居ない事を気にして大声で叫んだ。  すると、遠くからバイクの音が……  一人ツーリングかなぁ?  フルフェイスのヘルメットには長い髪が風で揺れてバイクは、僕のいる駐車場に止まった。 「あれっ……  100円君?  やっぱり100円君だ!」  バイクの女性はフルフェイスを脱ぎ僕に話し掛けて来た。  僕は、ビックリした。  コンビニの店員の彼女だった……  彼女が何故ここに……  そしてコンビニで働いている感じの彼女ではなかった。  黒のつなぎを着て、ボーイッシュな風貌。  そして僕の事を、100円君だって……  「実はね、昨日、100円君が買った日帰り旅行本の表紙が気になったんだぁ!」  「ぼ、僕も草原が表紙が気になって、ここに来たんです。」  僕達は無言の中、コンクリートで出来た丸太のイスに座り、大自然の草原を眺めた。  僕は、もう景色なんて頭に入らないよ……  心臓はバクバクするし、無言の時間が耐えれなかった。  何か話さなくては……  洒落た言葉が浮かばない……  すると彼女から話しかけてくれた。 「凄くキレイだね。来て良かった!  いつも1人だから、2人で同じ景色を見るっていいね!  私、田舎から出て来たばかりで友達も居なくて……」 「そ、そうなんですね……」  おそらく、彼女も無言を嫌って、僕に話してくれたと思う。
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