第二ミッション 僕と結婚して下さい。

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 そっと柔らかな感触が僕の唇に伝わって来た。  僕は咄嗟に目を開けた。  目の前には、アケビさん……  アケビさんは僕にバイクのサイドミラーを渡してくれた。  僕の唇は小さく口紅の跡が綺麗についていた。  少しの間、沈黙が続いた。  おそらく、1分くらいだろう……  でも、僕にとっては凄く長い長い時間に思えた。  心臓のバクバクは止まらない…… 「カトケンさんも1人暮らしだよね。」  アケビさんが沈黙を破り、たらこ唇のまま僕に話し出した。  アケビさんも少し照れてる感じだ。  顔が真っ赤になっている。 「ぼ、僕も、1人暮らしです。  で、でも僕の部屋はアケビさんの部屋と違って物に溢れています……」 「あっ、自慢してる?」 「そ、そんなんじゃ……」 「どんな部屋なんだろ……  今度、カトケンさんのアパートにも行ってもいい?」 「構いませんけど……  ビックリすると思います……  、僕の部屋はゲームばっかりで……」 「どんなゲーム?  一緒にしようよ!」 「え、え〜っと…」  僕は咄嗟に嘘をついた。 「カーレースです。」 「面白そう!」  僕はアケビさんには、超次元少女なんて言えなかった……  僕は初めてアケビさんに嘘をついてしまった…… 「あっ、誕生日ケーキ食べるの忘れてた。」 「お皿持ってくるね!」  僕達は照れながらもHappy birthday to you♪♪をアケビさんに歌った…… 「えっ……  カトケンさん、歌、上手すぎ……」 「えっ……」  僕は初めて人前で歌を披露した……  しかし、アケビさんの唇は、生クリームと口紅で紅白になっていた。
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