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「歳は?」
「24歳。」
「同じ歳じゃん!」
「アケビさんも24歳なんですか?」
「あっ、またアケビって言った!」
もう、駄目です。
明美さんって言おうとしても、アケビになってしまう。
僕はふざけて言っているんじゃない……
「もう、いいよ。
アケビで!」
彼女は笑って許してくれた。
「カトケンさんのお仕事は?」
「僕は営業をしています……」
「カトケンさん……
営業ぽくない。」
「売り上げは常に最下位ですけど……
大学を卒業して就職が見つからなくて、自分が求めてなかった営業しか受からなかったんだ……」
「大変ですね……」
「ア、アケビさんの職業は?」
僕は咄嗟に変な事を聞いた。
「カトケンさん、ふざけないで下さい。私はコンビニ店員です!」
「あっ!そうだった」
アケビさんは、ふくれっ面をして笑い出した。
僕は知らず知らずのうちに彼女の事をアケビさんって呼ぶ事になっていた。
一方的に話してくるアケビさんは、いつしか僕の心を落ち着かせてくれていた。
食べながら僕は思った。
男たるもの食事代は僕が彼女の分も払わなくてては!
食べ終わるとアケビさんは言った。
「割り勘で良いかなぁ…」
「僕が出します……」
「それは、駄目!
せっかく楽しかったのに奢って貰ったら台無しだよ。」
割り勘にした。
女心って分からないもんだ。
「今からどうする?
本、見せて……
私、この店に行きたい!」
「い、いいよ。良かったら僕の車で行く?近そうだから…」
バイクをステーキ屋に置き、僕の車で雑貨屋に向かった。
僕の車に女性を乗せるのは初めてだ。
親以外には……
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