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振り返ると、そこには見知らぬ、背の高い男がいた。
「あ、あの」
「お前、見ない面だな? 新入りか?」
鋭い眼差しにドキリとする。
少し長目の、乱れた七三分けの髪。
目鼻立ちがハッキリとし、美しい顔立ちが奥様にそっくりなので、次男坊の進坊っちゃんだと分かった。
「こちらでお世話になって二年目の、小智子と申します」
私がお辞儀をして挨拶をしたのを無視し、進坊っちゃんはいきなり服を脱ぎ出した。
「も、もう少しお待ちをっ」
私は、慌てて目をそらして湯加減を確かめる。水ではないがこの冬の寒さでは風邪を引いてしまう。
「待てん。3日ぶりの風呂なんだ」
しかし、坊っちゃんは、せっかちらしく湯船に入ろうとした。
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