俺の女になれ

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 あまりにも冷たい声だった。 「申し訳ありません、進さんはもう大人でいらっしゃるのに…」 たじろぎ、まだ擦りが不十分であるのにかかわらず、進さんの背中の泡をお湯で流した。 「そういう意味ではない、下女、お前は幾つになる?」 「十八になります」 「…もっと幼いのかと思った」 このおさげのせいだろうか? けして褒め言葉ではないのだろう。 「そういう進さんは?」 「お前より三つ上。学校には行ってるのか?」 「二年、青年学校へ通わせて頂きました」 旦那様や奥様が本当にいい人で良かった。 尋常小学校の時から勉学は好きであったので、まさか奉行先で進学させて貰えるとは思ってもなかった。 私が答えると、進さんは鼻で笑った。 「成金の偽善だ」 と。
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