一ノ章

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✱✱✱✱✱✱✱Side   風雅   ✱✱✱✱✱✱✱ 紅葉は席を外す。 『元気な子だね〜』 「恐縮です…」 『でさ、紅葉ってアヤカシから狙われて酷い目にあってるんだろ?』 風雅は軽い口調から真剣な顔つきに変わる 「はい。幼き頃から霊力が強いゆえ番の打診は絶えませんでした。幼いからと最初は断わり、アヤカシは聞き入れてくださいました。しかし中学高校になると婚約だけでもとしつこくなりました。我々でも守りきれず、毎日泣いて帰るように」 紋十郎は悔しそうに説明する (紅葉は家族に愛されてるんだね。紋十郎に小太郎だけじゃなく全員に…これはオレも大切にしないと紋十郎にぶっ飛ばされそうだな) 『で、怒りを買い恐れた紋十郎は生贄にと?』 「は…はい。生贄に行った者は帰ってくるので一時避難のつもりで安全かと…」 『ふぅ~ん』 (生贄には口封じしてあるから何されるか知らないんだな。だが、オレの生贄ならアヤカシも文句出ないから有効なのはわかるよ) 『オレの神子になったからアヤカシのほとんどは諦めたみたいだけど、一部はまだ諦めないだろう』 「そんな…」 『でだ、お前たちにこれを授ける』 風雅は手の平から光を放ち、白神家の腕にはめていく。虎目石の数珠ブレスレットだ。 「紅葉にあげたものと同じで過激なアヤカシは君たちを人質にしかねない。御守りだよ。紅葉のと違って着脱式だけど屋敷以外に行く時は極力付けておきな。屋敷には結界張るから危ないと感じたら屋敷に逃げ込みなよ」 口々に風雅に礼を伝えた (女の子を泣かす趣味ないからね。紅葉には元気にオレを殴って欲しいしね♪)
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