一ノ章

5/32
前へ
/143ページ
次へ
『君の事も聞かせてよ。霊力強いしアヤカシの番でもおかしくないでしょ?』 「わかったわ。私は西ノ島出身で、私の家…白神家は島を取り仕切ってる。先祖に神子がいるからね」 風雅が先祖の神子の事を知っているので顔を思い出していた。 「私はその白神家の長女。なんで生贄になったかっていうと私にも番を打診してきた(ぬえ)のアヤカシがいたわ。でも断ってやった。他にも蛇や猿だか色々きたけど全部断ったわ」 『へ〜モテモテだな。その霊力なら番に欲しい奴はあとを絶たないだろう』 風雅がみた限りでは西ノ島の中では歴代で5本の指に入る程強い。 アヤカシ最高位の天狗が目をつけないのがおかしい位だが天狗は西ノ島とは昔、色々あったので近寄らない。 本来なら自身と釣りあう霊力の持ち主を番にするのだが、逆に天狗へ下克上狙いのアヤカシが紅葉を狙っているに違いないと踏んだ。 『アヤカシの番になるのは4つの島共通の掟だよね?中には相手にされない長女ちゃんもいるみたいだけどさ。好きな人でもいた?』 「断り続けたらアヤカシ達は怒ってきた。だから父はアヤカシの怒りが怖くて私を生贄にしてアヤカシの怒りを鎮めたの。…ま、計画通りだけどね」 『計画?』 「そう。アヤカシとか気持ち悪いし無理。可愛くないんだもん!」 「好きな人がいるかって聞いたよね?」 『うん』 「好きな人いるわよ…」
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加