三ノ章

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美晴を家まで送ると風雅は街に出かけた。 帰ってくると紅葉は回復しているようだったので、部屋を訪ねた。 「ちゃんとノックしたのね」 『学習してるんだよ。オレも』 変わらず元気そうな紅葉に風雅もホッと安心した。 「なんの用よ」 『オレのせいで体調崩したお詫びかな』 「……」 紅葉は昨晩のことを思いだし顔をそむけた。 風雅はお見舞いにと両手で抱えられないほどの大量の紙袋を出した。さすがの紅葉もドン引きした。 「一体何買ってきたのよ」 『人間のお見舞いは花や果物って聞いたけど紅葉は花より食べ物がいいかなって』 「わかってるじゃない」 『紅葉。オレは昨晩、言ったことは本気だよ。本気で紅葉が好きなんだ』 軽くおちゃらけた風雅ではなく、真剣な眼差しで紅葉を見つめた。 「……っ!」 紅葉は困ったように顔を伏せる。 「…私はハッキリ言ってアンタのことは利用してる。アヤカシ嫌いだし神子になれば都合がいいからね…」 風雅もそれはわかっていることだし、構わないと思っいる。 「番とかアンタのことだから軽いノリだろうって私も軽く考えたのよね。…で、アンタが本気っていうから真剣にアンタが好きか考えたわ」 『うん…』 「私は風雅のことが恋愛的な意味で好きかはわかんない…一個人としては嫌いじゃないけどね」 『……』 つまりこれは失恋したと判断していいだろう、神子や番は解消だなと風雅は思った 「だからさ」 紅葉は風雅の気持ちを無視し続けた。 「風雅、私のこと本気なら私を惚れさせてみせなさいよ!」 『は?』 紅葉の言葉に驚くが紅葉は至って真剣だった。 風雅はフッとおかしそうに、嬉しくもあり満足そうに笑った。 『神であるオレに惚れさせろ?上からなんて生意気だな』 「嫌ならいいのよ?恋愛は同じ目線じゃないとね」 恋愛の前では平等で同じ立ち位置の方が上手くいくと昔読んだ漫画を思いだしていた。 風雅かは好きかはわからない。 でも離れたくない紅葉なりの自分らしい答えのつもりだ。 『受けてたつよ。オレは獲物を前に執着心も独占欲強いから覚悟しろ』 風雅はニヤリと笑いながら宣言した。 紅葉に対して本当に面白い女と感じつつも愛しさが増してしまっていた。 紅葉はもう風雅から逃げられないだろう。
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