三ノ章

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✱✱✱✱✱✱✱Side  風雅   ✱✱✱✱✱✱✱ 紅葉に振られると思っていた。 オレは初代神子の梅子から「不誠実で本音かわからない」「人間の気持ちを理解していない」と言われ毛嫌いされてしまっていた。 梅子は真面目だからオレと相性が悪かった。 神子として務めを果たしながらオレの世話などはしてくれたけど。 こんな性格なのも元からだし今更直るわけない、一応は神なんだから人間と立場も違うんだから仕方ないだろと思っていた。 紅葉と出会い、紅葉を神子にした時からオレは紅葉に惚れていたらしい。美晴に言われ、いつからだろうと考えるまで無自覚だったけど… 紅葉は文句を言いながらも世話をしてくれる。 家族想いで少なくとも今、この島で一番苦労している素直じゃない優しい女の子。 裏表がなくて言葉が本心で話しているのも好感が持てるしオレも自然体でいられて気持ちがいいくらい心地がいい。 とはいえ紅葉にはオレの性格ゆえ本気は伝わらないようだった。 紅葉をオレのものにしたい、逃したくないと想うほどだったけど駄目かと悩んだ。 だから「私を惚れさせてみなさいよ」の答えにはビックリした。 本当に面白い。 夕食へ向かう際に「軽いノリだと損するね〜」なんて冗談混じりにいうと 「軽いのは風雅だし仕方ないんじゃない?私が本心か見極められるようになればいいだけよ。ま、アンタを好きになったら解るかもしれないし、好きにならなかったら一生わかんないでしょうけど〜」と言ってくれた。 オレにとって最高の答えだ。 紅葉から「愛してる」って言わせてやるよ
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