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街の商業施設に向かうと片っ端から店のハロウィングッズや子供たちのお菓子、大人の夜のパーティーに出すお酒やおつまみや日持ちする食べ物など購入した。
「重い…」
『う〜ん、これじゃデートどころじゃないね』
紅葉も風雅も両手や肩に荷物を持っているが重さで歩くペースが落ちていた。
「もう疲れたから帰りたいわ〜」
『そうだね、また明日行こうか。帰る前に甘い物食べて疲労回復しない?』
風雅は商業施設周辺にある屋台を指すと「行く!」と食いついた。
テラス席でモンブランを3つ注文した紅葉。
「ん~~やっぱモンブランは美味しい」
『ふふっ。そのモンブランってやつ好きだね』
「私、栗は好物の一つなのよね。初めて街に行った時からハマっちゃった。…雑誌でモンブランの存在知ってたけど島にいたら食べられなかったわ。さすがアンタを利用してるだけあるわねっ!」
紅葉は遠回しにお礼を言ったつもりだ。
風雅は笑っていたので紅葉の気持ちは伝わったようだ。
『紅葉が好きものオレも一緒に食べてみたかったよ』
「そういえばアンタ食べられないんだっけ?お酒とかはいいのに食べ物はなんで?」
『不殺生戒っていう生き物を殺してはならないって神の風習があるからね。食べなくても生きていけるからってもあるね〜。神は沢山いるから中には米や野菜などの供物をいただくこともあるかな』
「へ〜生贄は食べれるんだっけ?」
『生贄は供物っていう物扱いだから。魂ごと食べるんだよ〜』
話しを聞いていると目の前の風雅は自分とは違うんだなと近くて遠い距離を感じてしまった紅葉
『オレの好物は紅葉のキスかな☆』
「……」
『痛いってば〜』
紅葉は風雅の足を踏みつけた。
あいかわらず風雅は嬉しそうにしていた。
「ちょっと買いたいものあるから、私のモンブラン見張っておいて!」
走り出しどこかへ行ってしまった。残された風雅はため息をつく。
『紅葉と同じ目線でみて、しっかり話す…そのつもりだったんだけど難しいね。こんなんじゃ紅葉がオレを好きになってくれないか』
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