四ノ章

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氷空が帰り、夕食にすることになった。 司は何かあれば明日報告してもらうとのことで自分の家庭に戻る。 紅葉は制服のままだったので着替えるとイライラしながら夕食を摂る部屋に向かった。 風雅も付いていった。 風雅は早速、お酒を買った店のキャンペーンで貰ったビールや抽選クジで当てたお酒を紋十郎、直美、小太郎と一緒に嗜んでいた。 「楓姉がアヤカシの番になるなんてね〜」 美晴が楽しそうに口を開くと紅葉と紋十郎がピクッ反応した。 「まだなってないでしょ!」 紅葉が反論すると紋十郎もウンウンと頷く。 「虎のアヤカシか…強そうだね」 『小太郎のいう通り強いよ。虎のアヤカシはたしか上位だったかな。上の中くらいね。縄張り意識や独占欲が強くて愛に一途でマイペースな一族だよ〜』 「愛に一途とか一生大切にしてくれそうで素敵〜ね、楓姉!」 「そうね」 楓はまだ戸惑いを隠せない。 「アヤカシはみんな悪い奴よ!女を道具としか思ってない化け物!楓も嫌な思いしたのに受け入れないでよ!」 「紅葉…」 紅葉はアヤカシに嫌な思いもしたし楓も巻き込まれたことで尚更嫌っていた。 それもあるが大事な片割れを失いたくない、楓が不幸になってしまうのではと心配や焦りがあった。 「紅葉…私が番になるかわからないけど、アヤカシにもまともな人だっているでしょ?亜由美の番とかね」 亜由美は紅葉と楓の同級生で2人の友達でもある。 亜由美には同じ年のコツメカワウソのアヤカシの番がいる。同じ年ながら年下のようにヤンチャで亜由美を番にしたいが為に一生懸命だった。 紅葉も彼だけは応援していた。 「……」 「どんな人かはわからない。でもアヤカシだからと無下に扱うのは良くないと思う。紅葉の場合は仕方ないけどね」 「………」 楓の言葉に無言になってしまう紅葉。 『あははっ。同じ双子でも楓のが大人だね〜紅葉、オレは紅葉を愛してる。だから紅葉も守りたいし紅葉の大切にしてる全てを守ってあげたい。楓に何かあったらすぐオレが助けるから。紅葉には楓の幸せを奪う権利ないんだから見守ろうね?』 風雅がずっと不機嫌な紅葉を諭す。 氷空とお茶会をする時に紅葉も同席するので監視してやろうと思いながら黙った。 紋十郎は胃を抑え、直美が慰めるように背中をさすってあげていた。
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