ひかる姫君へ

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天気の良い日だった。 竿を持ったウラシマタロウが海辺で釣り場を探していた。前方が何やら騒がしい。子供たちがウミガメを棒で小突きまわしていたのだった。 「♫ もしもし カメよ カメさんよ  せかいのうちで おまえほど  あゆみののろい ものはない  どうしてそんなに のろいのか ♫ わ~い」 「♫ もしもし カメよ カメさんよ  せかいのうちで おまえほど  うごきのにぶい ものはない  どうしてそんなに にぶいのか ♫ や~い!」 「おい!何してる!」 聞こえていない。 子供たちはカメを囃し立てるようにかわるがわる歌っている。まるで輪唱だ。 「♫ もしもし カメよ カメさんよ  せかいのうちで おまえほど  あたまのとろい ものはない  どうしてそんなに とろいのか ♫ アッハッハッハ」 ウラシマさんも負けじと歌い出した。 「♫ こらこら ガキども ガキんちょよ  きんじょのうちで おまえほど  あそびのへたな ものはない  どうしてそんなに ひどいのか ♫  こらぁっ」 ウラシマさんが釣り竿を指揮棒のように振り回すと子供たちは逃げだした。 ホッとしたウミガメが調子にのった。 「♫ もしもし ウラシマ タロさんよ  せかいのうちで あなたほど  こころのきれいな ものはない  どうしてそんなに やさしいの ♫ ウラシマさん ありがとう」
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