不良の巣窟

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不良の巣窟

桜が舞い散るこの季節が好きだ。 春を知らせる桜が満開に咲いていて春風があたしの頬を掠める。 風で桜の花びらがひらひらと飛んでいく。 携帯を取り出してカシャ、とシャッター音を響かせた。 何枚か撮れた写真に満足して再び歩を進めた。 あたしの高校生活がスタートする。 とは言っても、入学式はとっくに終わっていてあたしは残念ながら体調不良で欠席。何日か安静の為休んで、復帰した本日が初めての登校となる。 あたしが通う明条(めいじょう)高校は県内トップクラスの最強の"不良高"として有名だ。 喧嘩は日常茶飯事であちこちで物を破壊する音が聞こえる。 割合でいうと男子が大半を占めていて女子はほんのひと握りしかいない。 壁にはスプレーで"天下統一"という文字が書き殴られていて、それだけでも唯ならぬ場所だということがうかがえる。
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