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ユウタはどこにでもいる普通の少年だった。だが、彼には一つだけ特別な習慣があった。周りの誰かが見向きもしないものを集めることだ。古びたコイン、枯れ葉、道に転がっている欠けたガラスのかけら。彼にとってそれらは、ただの「もの」ではなく、何か特別な意味を持っているように感じられた。
「それ、何に使うの?」友達がいつも不思議そうに尋ねる。
「別に使うわけじゃない。ただ、集めるのが好きなんだ。」
その日は、いつもと変わらない平凡な日だった。ユウタはいつものように森の中を歩いていた。森の奥には、小さな丘があり、その頂上に一つの石造りの祠があった。誰も訪れることのない場所だが、ユウタはそこで何か特別なものが見つかると信じていた。
そして、その日は違った。祠の中にあったのは、古びた木箱だった。表面には何やら古代文字のようなものが刻まれており、箱自体が時間を超越したかのように、静かに彼を待っているように感じられた。ユウタは箱を手に取ると、その重みと冷たさに驚いた。表面にはかすれた文字が刻まれていた。
「真実を集めし者のみ、この箱を開けることができる」
ユウタはその言葉の意味を理解できなかったが、なぜかその箱に強く惹かれた。手にした瞬間、箱が微かに輝き出し、不思議な力が彼を包み込んだ。
次の瞬間、彼は見知らぬ場所に立っていた。
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