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おじゃんになる
「ご家老、今日は特別の品をご用意しております。どうぞご覧ください」
ここはさる藩で家老を務める服部助左衛門の屋敷である。
白いあごひげを蓄えて、いかにも藩の重臣という趣ではあるが、最近は老いもあってか切れが見えない。
だが、骨董商を営む弥吉にとっては、そこのところがすこぶるつきの得意先であった。
今までにも、まがい物といっては身もふたもないが、普通の人ならば一顧だにしないような品を、弥吉の口車に乗っていい値段で買ってくれていた。
上得意だけに、いつもインチキな品ばかりでは出入り禁止になってしまうと、ときには上等な品を持参しては、『本日はいつも世話になっておりますので、飛び切りの品をお持ちしました』と差し出すことにしている。
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