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彼はその言葉に興味があるのか、将又微塵もないのか目を細めるばかり。
「君のこと、欲しくなっちゃった」
持て余しそうな程の長い足に、掌を滑らせて。相手の様子をほろ酔いしながら見守っていると。
「それは、---“お願い”ですか?」
「うん。君とセックスがしてみたい」
「随分と素直な女性ヒトなんですね」
酔いが回る。思考がやや不明瞭だけれど、確実に私の心は彼を欲しがっていた。
「---条件次第では、貴女のお願いを叶えても構いませんよ」
その男から告げられる“条件”というフレーズ。シンプルに性欲が薄いタイプなのか、それとも私の誘いを迷惑がっているのかは、わからなかったけれど。
私はどうしても、目の前の彼が欲しい。
「良いわよ?お金?それなら沢山持ってるわよ」
「僕が欲しいものはそんなものじゃありません」
「じゃあ何よ」
金銭じゃない、何か別の目的があるのだろうか。それすらも気になって、答えを捲し立てるように尋ねた。
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