一花は四つの家がある

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 菫さんとお母さんに、ことの顛末を話していく。  お母さんと菫さんは、うんうん、ひゃあ、とか所々で声を発した。  一通り話し終えると、お母さんは呆れたように、 「鬼退治って、一花はまたそんな大それたことをして。武勇伝にもなりませんよ」と眉を(ひそ)めた。  菫さんは、「跳ぶって、そういうこと! うわぁ! 意味が違うけど、そりぁ跳んだね。豪快だ! よくやった。一花!」と褒めてくれた。  二人に報告を終えると急に空腹を覚えた。  菫さんの作った苺のデコレーションケーキは、生クリームがしつこくなくほんのりした甘さで絶品だ。  テーブルの上のものをひたすら美味しい、美味しいと食べていく。  お母さんと菫さんは、クレンジングオイルって考えましたね。そんなに滑るんですかねとか、いや危ないでしょ。頭打たなかったみたいで良かったけどとか話している。  眠い。横を見るとレモンが満足しきった顔で、横になって寝入っている。レモンのお腹の上に頭を預けると、ほっとした安堵感からか急激に睡魔が襲ってきた。    ──無事で何よりでした。  ──私がもっとあの子の気持ちを……。  なんて言葉が途切れ途切れに聴こえてきたけれど、意識が遠のいていって、お婆ちゃんにも報告しなくちゃと思いながら深い眠りにおちた。
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