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「ちょっとぉー、ミカ、何しに来たのよぉ…」
思わず私も弱々しいけれど突っ込む。強くは言えないから。
「もちろん、勉強に決まってるじゃん。でも気分転換て、大事だし」
ミカが立ち上がる。
「でも、部屋、掃除してない、から…」
「じゃあ、漫画だけ、貸して?」
ミカが廊下の向こうの私の部屋に勝手に向かう。
「待って、待ってよ…」
部屋の扉を開けて中を覗いたミカが声をあげる。
「あれ?なんだ、めっちゃ片付いてんじゃん。」
そこに嫌なタイミングでママが帰ってきた。ガチャンと玄関の鍵があく音。
「あら、いらっしゃい」
みんな気まずそうに立ち上がった。
「あ…、お邪魔…してます…。」
「あら、いいのよ?ゆっくりして?」
みんな身の回りのものを片付け始めた。
「あー、今からミナミの部屋に移動しようって言ってたところなんです。ね?ミナミ?」
ミカがわたしにそう言ってきた。
「う、うん…。」
みんなでぞろぞろと移動し私の狭い部屋に入ってきた。
「あ、これテーブルにちょうどいいじゃん、こんなのあったっけ」
ミカが木箱に手を掛けた。
「あ、それ…」
「え?」
「何でも、ない…」
もじもじと言うとケン君が心配そうに私をみた。
「大丈夫?平気なの?俺たちまだいて。」
「へ、平気だよ、なんかごめんね、気を遣わせちゃって。今日ママがこんなに早く帰ってくると思わなかったから。」
「僕たちは構わないけどね、お母さんが迷惑じゃなければ…。」
加島くんも心配そうに気にしながら苦笑い。
「なんかごめんね。お茶入れ直してくる。」
リビングに戻るとママがコーヒーを入れてくれてた。今買ってきたロールケーキも添えて。
「で?ミナミの狙ってる子はどっちなの?どっちもイケメンだね」
ママがひそひそ声で聞いてくる。
「うるさいな」
言い返すとママがペロっと舌を出す。
「ほら、これ持っていって?」
たまたまリビングにリュックを取りに来たケン君がママのその声に反応し、こっちに近づいて来た。私が急に顔を赤くしたのをママに見られた。
ママが唇をピクリと動かしてケン君の方を向き眉毛を上げたのなんか無視した。
「俺、手伝うよ。」
リュックを、背負ったケン君の笑顔が眩しい。
二人でお盆をそれぞれもって部屋まで運ぶ。
ケン君と目があった。さっきからケン君がこっちを見てるのはきっと私の気のせいだよね。心臓のドキドキがケン君にまで聞こえそう。
部屋に戻ると驚きの光景が目に入ってきた。
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