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ミカが私を睨み付け、ケン君をみた。
「今の何?見せて?なんで隠すの?」
「おい、ミカ!」
「え?何よ。なんか、『ケン君』て見えたけど?」
「これは俺のだから。な?だろ?」
「え、いや、ちが…」
「え?見せてよ!ねぇ、何?今の…」
するとケン君がミカにぴしゃりと言った。
「ミカさ、勝手に人のそうやってみたりすんなよ。いくら友達だって少しは気遣いとか、ないわけ?」
気がついたら私の目に涙がたまってた。なんでだろう。
なんで泣くの?私…。
「あー、なんか嫌な雰囲気。勉強する気うせたわ。帰る…」
ミカがつかつかと歩き部屋を出ていく。
「あ…、じゃあ…。俺もそろそろ帰ろっかな…」
加島くんも、ぎこちない笑顔で気まずそうにあとについて帰っていく。
「なんか、ごめんね…」
蚊の鳴くような声でそう言って二人を見送った。
「あのさ、はっきり断る時は断ったほうがいいぞ?ミカ、マジで、勝手なとこあるから」
ケン君が帰り際に、心配そうにそんな風に言ってくれた。
そうだった。ミカはいつもそうだ。私が嫌って言えないの知ってて。だけどずっと、無理して合わせてた。だって同じグループだから。
今さら友達グループやめようなんて言えないし。
このグループを抜けたら、私はグループ難民になってしまう。女の子の世界はグループによって成り立っている。
だから言えなかった。グループのリーダー的存在のミカが好きな、ケン君のことが好きだってこと。
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