この指とまれ

1/1
前へ
/9ページ
次へ

この指とまれ

 クラスのみんなを、ケン君が見渡すとみんなシーンとなった。 「どうなの?るり?あんなに仲良しだったじゃん、昨日まで。みんなはこれ見てなんとも思わねぇの?」  ケン君がみんなやるりちゃんに問いかける。 「あ、あたしは…」  るりちゃんが困った顔をした。けいこちゃんがるりちゃんを睨み、るりちゃんに圧をかけてる。 「るりはあたしたちの仲間だもんね?」 「なんだよ、ミナミは?仲間じゃねぇの?」 「るりがミナミと仲良くするならもう、るりも抜けなよ。」  けいこが低い声で言うと加島くんが、一言。 「それって脅しじゃね?そうやって引き留めてそばにいさせるんじゃ、それ友達って言わないよな?」  するとるりちゃんが小さな声で呟いた。 「あたしは…やっぱりミナミとも仲良くしたい。」  クラスのみんなの視線が集まる。 「じゃあ、るりはグループ抜けるんだ?」  けいこが怒った顔で言う。 「いいじゃん、じゃあ、俺たちと新しいグループ作ろうぜ?」  ケン君がそう言って人差し指を立てた。 「仲良くしたいやつ、この指とまれ!」  そう言いながらケン君が私の人差し指を手のひらで握ったまま、自分の人差し指を立てた。 「俺入るー。」  ケン君の人差し指を加島くんがつかんで人差し指を立てた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加