エピローグ

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エピローグ

ジリリリリ。 遠くでチャイムの音がする。疲れ果てて書庫で眠ってしまったらしい。 庭から顔を出すと、困ったような顔の沢田さんが紙袋片手に佇んでいた。 その奥で隠れるように寄り添う細い影。あれは……。 「花世ちゃん?」 「あ、滝川さん。昨晩はすみませんでした。あの後、警察署に行こうと家を出たら花世が戻ってきて……」 「それは良かったわ。花世ちゃん大丈夫?どこか行っていたの?」 「はい。宏斗、大袈裟なんですよぉ。最近運動不足だからウォーキングに行っていただけなのに」 「何も言われなきゃ心配するだろ。スマホくらい持ってけよ」 「はいはーい」 お詫びだとお菓子を置いて仲睦まじく帰る二人の姿に「良かった」と思いつつ得体の知れない違和感が胸に溢れた。でも、それが何なのかわからない。 「あ、滝川さーん」 産まれ変わったように元気な花世ちゃんが、走って戻ってくる。不審が顔に出たらいけない。 「どうしたの?」 「あの本、どこか遠くにやって下さいね。彷徨い続けてやっと置き換えられたんだから。ふふふ。滝川さんのおかげ。ふふふ」 「なに……を」 「読んだんでしょ?滝川さんの胸に秘めておいたほうがいいですよ。あなたの犯した大きな罪は。運が良ければ、またどこかでチャンスがあるでしょ。じゃあ」 ゾッとするような顔で微笑んだ花世ちゃんの身体に入った誰かが、嬉しそうに走り出した。
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