おつかれさま

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おつかれさま

 山辺さんを落ち着かせて警察に連絡してもらい、到着するまで元旦那を押さえ込みながら説明する。 「山辺さんに“おかえり”を返していたのも物を動かしていたのも、どちらもこの男の仕業だったんです。今回の霊は家に帰宅してくるものだったので“おかえり”を言うはずがないんですよ」 「じゃあ……聞こえ始めたときにはもう家がバレていたってことなんですか」 「バレていたどころか、合鍵まで作られて同棲しちゃってましたね。物の配置が変わっていたのもそのせいです」 「そんなっ……」  怯えて泣き始めた彼女に軽く言い過ぎたかと少し反省しつつ、遠くから聞こえてくるパトカーのサイレンにやっと来たかと安堵する。いまだに山辺さんに対して謝罪を繰り返し復縁を迫る男の言葉を聞き流しながら、俺は後日請求する金額を脳内で計算していた。
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