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五頭龍
むかしむかし、鎌倉というところに大きな大きな底なし湖があり、ふかざわと呼ばれていました。
深い樹木に囲まれ、息もつまるような黒い霧に覆われておりました。
そこには頭が五つもあるとってもいたずら好きの竜が棲んでおりました。
名を五つの頭と書き、五頭龍と言います。
竜は暇つぶしに何か面白いことはないかと考えておりました。
「そうだ、ひ弱な村人たちでもいじめて、遊んでみようかな」
竜は村人たちの大泣きする顔を想像したら、ウキウキしてきました。
竜はいたずら好きな仲間たちに声をかけました。
風の暴走族、山の暴れん坊、鬼のいじめっ子はその話を楽しそうに聞き、一緒にいたずら作戦を考えました。
作戦が決まるとさっそく竜は仲間を引き連れ、村を襲い始めました。
山を崩して家を壊したり、洪水を起こして田畑を水浸しにします。
バキバキ、ザザザザー。
せっかく作った家はぺちゃんこになり、田んぼに植えた稲は流されてしまいました。
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