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「あの、私に何か⋯⋯?」
冷の知り合い?友達?
そんな人がどうして私に声を掛けるの?朔也さんみたいに、冷に近付くなって言いに来たとか?
だとしたらまた冷が頼んで⋯⋯⋯⋯
「ここじゃちょっと目立つから移動していい?」
その言葉にはっと周囲を見渡すと、同じ学校の生徒達が遠巻きにチラチラとこっちを見ていた。
そうか、冷の学校って評判悪いからきっと怖いんだ。
と、勝手に決めつけてしまった私の思考は次の瞬間には間違いだと悟った。
「ねえ、あの人めっちゃイケメン」
「なんか見たことあるような⋯⋯」
「写真で見たんじゃない?あそこの学校、ガラ悪いけど顔面偏差値高いって有名じゃん」
そ⋯⋯そうなんだ。冷の学校がイケメン揃いだなんて知らなかった。それも、写真が出回るくらい?
だけど確かに、冷は言わずもがな朔也さんだって大勢の中で一際目を引く顔立ちだ。第一印象イケメン、て感じだったもん。
そして目の前のこの人も⋯⋯⋯⋯
「あっちに自販機とベンチあったから、行こう」
気さくに私に話しかけるその顔はパーツのひとつひとつが直線的で凛々しく、だけど優しげな目元が印象的だ。
うん、確かにイケメン。それになんだか色気がある。
ダークトーンの髪は前髪をセンター分けで流し、程よく着崩した制服も彼の雰囲気によく似合っていた。
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