再会

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再会

昔から友達を作るのがどうにも苦手だった。苦手というか、致命的に下手だった。 たぶん、私の性格に問題があるんだと思う。 とにかく、青春真っ只中の高校生だというのに家と学校の往復しかしていない私はかなり寂しい毎日で。 ————————だからこのチャンスは絶対に無駄に出来なかった。 「ね、例のやつ今日行ける?」 突然聞こえた声に顔を上げると、1ヶ月前にクラスメイトになったばかりの女子達が私の机を囲んでいた。 「あ⋯⋯うん」 読んでいた文庫本を意味もなく隠すように手で覆いながら、頭の先からつま先まで隙なくキラキラに整えている数人を見上げる。 「じゃあよろしくね。あ、服とか持ってる?メイクとかもちゃんとしてきて欲しいんだけど」 周りのクラスメイト達は、完全無視だ。クラスの1軍女子達がぼっちの全く目立たない地味な女子を囲んでるけど、面倒なことには関わりたくないと見て見ぬふり。 まあ別に、絡まれてるとかじゃなくて同意の上だからいじめでもなんでもないんだけど。 「えっと、うん。大丈夫⋯⋯と思う」 「えー、ほんとに?なんか心配だわ」 すると彼女達はヒソヒソと目の前で耳打ちし合って、そして最後はアイメイクでしっかりとアピールされている目でアイコンタクトを取る。 「よし、学校からそのまま私らと一緒に行こ。服とか全部貸したげるから」 「決まり決まり。あ〜午後から眠すぎぃ。しかも現国だし。あのババアうざすぎない?」 返事は求められていなかった。私が言葉を発する前に、彼女達は散って行った。
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