301人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あの⋯⋯冷に会いに来たの!どこにいるか知ってる?」
うん、これはラッキーだ。この人に冷のとこまで案内してもらえるかもしれない。
だけどそんな私に朔也さんは厳しい表情をしたかと思うと「こっち来て」と突然腕を掴んで歩き出す。
「どこに行くのっ?」
「黙って。顔覚えられたら面倒だから」
そして連れて行かれた場所は3階の空き教室だった。
バン!と強く扉を閉めて、朔也さんがこっちを見る。
「俺が昨日言ったこと忘れたわけ?」
「忘れてないよ!でももう1回ちゃんと冷と話したくて⋯⋯」
「だからそれをやめろって言ってんだって」
でも⋯⋯⋯それじゃ何も変わらないんだもん。私はこのまま終わるのは、絶対に嫌なの。
「冷のことは諦めろ」
朔也さんは⋯⋯⋯⋯私のこと何も知らないのに。冷もこの人も、私がどう思うかなんて無視して全部勝手に決めている。
そう思うと、言い返したくなった。
「心配してくれてありがとう。でも私が勝手にしてることだから気にしないで。自分のことは自分でどうにかするから」
「いや心配とかじゃなくて⋯⋯」
と、そこで朔也さんの声を遮るように勢いよく扉の開く音が響く。
「朔也見つけたー!!」
そこには金髪ロングヘアをなびかせたド派手なギャルが顔を怒りに染めて立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!