683人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後、自宅が学校から歩いて10分の距離にある子の家にお邪魔し、メイクや髪の毛をしてもらう。
「うわぁ、古賀さんって化粧映えするねぇ。てか普通に顔綺麗じゃん」
「メイクとかファッションとか研究しなよ。そういうの興味ない?」
「もっと喋ってさ、笑顔見せてればすぐ男寄って来そう。雰囲気大事だよ〜」
「あ、そういえば彼氏いんの?」
「う、ううんっ」
矢継ぎ早の会話に慌てながら、最後の質問だけはすぐに否定する。友達すら出来ないのに、彼氏なんているわけがない。
「完成!服はこれねっ」
渡されたのはグレーのタイトワンピだった。あ⋯⋯でもロング丈だ、よかった。
メイクも髪型も夜の街仕様でかなり派手になったから(普段の私と比べると別人級)、服もすごく露出が多いかなと思ってけど、これなら安心⋯⋯⋯
「⋯⋯⋯⋯」
だけどトイレに入って広げてみると、丈は確かにふくらはぎの中間くらいまであるけど、右側は太ももの真ん中くらいまで大きくスリットが入っていた。しかも胸元も着てみると結構切れ込みがある。
⋯⋯どうしよう。
こんな服着たことないよ。胸元スースーするし、メイクも髪も本当に似合ってるのかな。本当は不釣り合いだけど、嘘を付いておだててくれてるだけだったら?
でも⋯⋯⋯⋯
「⋯⋯頑張れ、私」
ダメだよね、こんなことで怯むなんて。今までと同じじゃ意味ないんだから。
そうだ、これが友達作りの第一歩だ。今頑張らないでどうするの。
「頑張れ、頑張れ」
頑張れば⋯⋯私にも“また”友達できるよね?
最初のコメントを投稿しよう!