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「じゃあどうして⋯⋯あんな風に私を拒むの?」
わからない。冷の考えてること、ちっともわからないよ。
「そこまでは俺も知らない。とにかく自分を嫌いになるように、2度とあの店に来ないようにきつく接しろって言われてた」
朔也さんと初めて話した時のきびしい態度と、さっきまで私が冷に近づくの止めていた理由をようやく理解する。
冷は私が近付くのを嫌がっていて、朔也さんはそれに協力して⋯⋯⋯⋯待って、それなら。
「じゃあ昨日私に言った冷の話は嘘なの?」
「いや、あれはほんと。実際関わったらやばいと思うし」
「⋯⋯なんでなの?どうしてこんな風になっちゃうの?気にかけてくれてるのに近付くのはダメなの?私は冷のそばにいちゃいけないの?」
「まあ冷の考えてることなんてわかんねえし」
「冷、今どこにいるの?」
会わなきゃ。会って話さなきゃどうにもならない。
私を気にかけてくれてた冷の優しさは昔のまま。
変わってない。ちゃんと面影がある。見つけたその影を逃したりなんて絶対しない。
「嫌がられると思うけど」
「それでもいいから教えて!」
「⋯⋯⋯⋯」
「お願い!」
難しい顔をして口を閉ざす朔也さんの代わりに答えたのはサチさんだった。
「5階のいちばんの奥にある視聴覚室。冷がサボる時は大体そこよー」
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