面影

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「れ、冷」 「⋯⋯⋯⋯」 何の感情もない瞳。でも大丈夫、こんなことくらいで負けるもんか。 こんなの、予想の内だもん。 「授業はちゃんと受けないとダメだよ」 「⋯⋯⋯⋯」 「それに昨日一緒にいた女の子はどうしたの?色んな子とそういうことするの、よくないよ」 「⋯⋯⋯⋯」 「説教なんて嫌かもしれないけど、友達として⋯⋯」 「2度とツラ見せるなって言っただろ」 ———————そんな目で睨んだって、怖くないんだから。 昨日みたいに泣き出すと思ってるなら大間違いだよ。 「聞いたけど、私は“うん”って言ってない」 「消えろ」 「消えないっ」 「じゃあ俺が消える」 「ダメ!」 扉へ向かおうとする冷の前に遮るように立って止める。 「そうやって遠ざけようとしてもダメなんだから。昨日のこと、朔也さんに教えてもらったもん。私が駅に戻るまでずっと気にしてくれてたって。あの時も偶然じゃなくて助けてくれたって、知ってるんだから!」 強い口調で言い切った私に、冷は初めて眉を少しだけ歪めた。
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