面影

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「そうやって守ってくれたのに、近付くのは嫌だって言われても納得できない!冷は私を遠ざけて終わりかもしれないけど、私はそれじゃずっとモヤモヤするだけだもん!」 「⋯⋯チッ、朔也」 「どうして昔みたいに一緒にいちゃダメなの?私、昔の冷が消えたなんて思えないし、消すことも出来ないよ。嫌だって言うなら理由を教えてよ。ダメなとこは直すし、冷のそばにいられるなら何でもするから!」 お願い、一緒にいたいの。冷は私にとって特別なんだよ。 「⋯⋯離れてた間、冷がどんな風に過ごしてたのか知りたいよ」 「⋯⋯⋯⋯」 「何があって、今どんな生活してるのか、冷が楽しく過ごしてるか、知りたいよ⋯⋯」 ポケットから携帯用のリンスボトルを取り出す。冷は無言のまま私の手の中のそれに視線を動かした。 「これ覚えてる?2人で髪の毛洗い合ったよね。それで冷はシャンプー、私はリンスを持つことにして」 冷はまだ持ってる? 「⋯⋯⋯⋯」 冷がリンスボトルを手にとってゆっくりと瞬きをする。それから私を見て冷たく言った。 「知るかよ、こんなもん」 そして気付いた時には窓を開けて「っやめて!」私の手が届く前に窓の外に放り投げた。
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