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着替えた私を、彼女達は「超似合う!」と褒めちぎってくれた。
バッグも靴も、アクセまで全部借りてしまった。
「あの⋯⋯ありがとう。何から何までしてもらって」
「全然!むしろこっちが感謝だよっ」
私以上に着飾った彼女達が、嬉しそうに笑う。
⋯⋯それだけ本気なんだなぁ。そんなに仲良くなりたい人がいるなんて、そういうのって羨ましい。
“やばい人”っていうのが気になるけど⋯⋯私を必要とするならどういう種類の「やばい」か大体予想がつく。
目的地が繁華街なら、尚更。
「あーやばい。ドキドキしてきたっ」
「今日は絶対いるんだよね?」
「そうだよ、確かな情報だって言ったじゃん」
「ね、近くになったらもっかいメイク直そうよ」
学校の荷物の中に制服とローファーを詰め込んで、駅のコインロッカーに入れる。パタンと閉じてふうと息をついて、ふと家に連絡をしてないことに気付いた。
『友達と遊んで帰るから遅くなる。ご飯いらないよ』
短いメッセージを送りながら、顔がにやける。言ってみたかったの、この言葉。憧れてたからすごく嬉しい。
「古賀さん、行こー」
「うん!」
借り物の小さなバッグに携帯を入れて、慣れないヒールで地面を踏みしめた。
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